針施術初心者の皆様へ

~~はじめに~~

針施術になじみの薄いみなさんは、こうお考えではないでしょうか?

「痛そう・こわい」

実は私も初めて「針」を勧められたとき同じような事を考え、そして施術を受けませんでした。高校1年生でしつこい腰痛に悩まされたときでした。(下のリンクに私の体験談があります)ごあいさつにかえて:初めての「針」

私が鍼灸院を紹介されたときに言われたのは「針は効くよ」のみだったので、裁縫針のような硬くて太い針を「ぶすっと刺す」ようなイメージが浮かび、そんなに恐い思いをするなら、腰痛を我慢した方がマシだと考えたのです。その私が今では針灸師として人様に針を打つ仕事をしているのですから、人生のめぐりあわせとは本当に不思議なものです。でも、後年になって初めて「針」を打たれた時、私の不安は全くの杞憂だったことがよくわかりました。

結局、私の不安は「針」に対する情報不足によるものだったと思います。「針は効くよ」と漠然としたものではなく、内容と効果についてもっと具体的なイメージがつかめていたら、当時の私は「針」を受けていたかもしれません(インターネットもない時代だったので仕方ないですが…)

みなさんは、「針」の経験がほとんど無いにもかかわらず、興味を持たれたとするならば、何かよほど困ったことがあるのかもしれませんね。そのような状況でも安心して針灸を選択していただき、健康回復・増進にお役立ていただきたいということが、私自身の過去の経験から与えられた課題であり、当院の務めである考えています。まずはその不安を和らげていただくため、このページを作りました。

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①針の太さについて

②針は痛い?

③針の深さ 

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①針の太さについて

 皆さんは針灸に用いられる「針」について、どのような形態の針を想像されるでしょうか?注射針のような鋭利な「針」でしょうか?それとも裁縫に使う「針」のような太くて固いものでしょうか?
 通常、当院の針施術において使用する「針」は直径0.12mm~0.2mmです。(針灸の針は直径0.02mmごとにサイズ分けされています。)当院では「針」を初めて受ける方の場合には、基本的にまずは一番細い0.12mmの針(長さ15mm)の極細短針(下の写真)を使用し、痛み・刺激に対する感受性などを考慮しながら感受性と効果の両面で最も身体に合うサイズの選択をしております。ちなみに0.12mmとは、美容針灸というジャンルにおいてデリケートな顔面部の施術にも用いられている細さです。

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針:太さ0・12mm・長さ15mm
極細短針:太さ0・12mm・長さ15mm
極細短針針管付
極細短針:針を刺入する際に使う管に入っています。

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 ②「針」は痛い?
「針は痛い?」という疑問は「針」が未経験なら誰でも持たれることでしょう。また、他院ですでに経験された場合でも、当院の場合ではどうだろうと思われるかもしれません。一般に、痛みに対して元々敏感な人、全然平気な人など、痛みに対する感受性はかなりの個人差があります。
ただ、「針の施術は痛いものだ。」と開き直り、無理な我慢を強いてでも施術をしようというのは、その結果がどうであれ、本当に患者さんのためになるとは私は思えません。プロとして、針を用いて『施術をする』ことが目的なのであれば、その過程での苦痛をなるべく最小限に…ゼロでなくてもせめて受療者の「許容範囲内」に収める様に努力するべきだと私は思っております。当院では基本的にそのスタンスで初心者への施術に取り組んでおります。
具体的に言いますと、施術の際の「針」の痛みは最小限に抑えるよう努力しておりますが、針を刺す過程で多少の痛みや刺激感を感じる場合もあります。
ただし「痛くても無理して我慢しなければならない」とか、「痛くなければ効果がない」というようなことは決してありません。
針施術の際にまず重要なのは、患者さんの痛みに対する感受性・許容度を知ることです。ですので、当院で初めて「針」を受けられる患者さんの場合は、イヤな痛みを感じたり、刺激が強いと感じるような場合は、まずはその時点ですぐに教えてもらうようにしております。そのようにしながらなるべく早い段階で 施術を受ける方の痛みに対する許容度を知り、以後はその許容度に従って施術を進めます。ですので、当院で初めて「針」を受けられた患者さんでも、1~2回目の施術中に寝息を立てていらっしゃる方も多いです。

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③針の深さ

「針はどのくらい深く刺すのですか?」という疑問も多くの方が持たれると思います。通常でも1ミリ~数ミリしか針を刺さない場合もありますし、可能であれば数センチ程刺入する場合もあります。ただ、初回の場合は数ミリ以内に抑える場合がほとんどです。

針の深さを調整する基準ですが、上記の「針は痛いか」という質問にお答えする際、「施術を受けられる方の許容度に合わせて」とお答えしましたが、針の深さについても、施術を受けられる方の許容度に合わせて調整しております。許容度についてはもちろん個人差があります。そして、その許容度は主にどの程度の段階で「痛み・刺激感」を感じるかで判断します。つまり、施術中、針を刺して「痛みや刺激感」を感じた場合は針を止めますので、それによってどのくらいまでの許容範囲があるのかを見極め、その許容範囲を超えないよう細心の注意を払いながら施術いたします。ただし、実際には施術部位の状態やツボの手触りなどから、これまでの経験や勘によって大体の許容範囲を把握できますので、許容範囲を探る段階で強い痛みや刺激感を感じさせるわけではありません。できるだけ痛みや刺激感を感じる一歩手前で針を止めるようにしています。

そうなりますと、「深く刺さなくても効果に差はないの?」という疑問が生じてくるかもしれません。当院では痛みやコリなどの緩解を目的として、筋肉を対象とした施術を行う際、比較的深部にある筋肉の状態改善を目的として針施術を行うことがあります。ですが、その針施術でも、数ミリ針を刺すだけで、深層の状態を改善させ、コリ・痛みの緩解を行ってしまうこともあります。

なぜこのようなことが可能であるかといいますと、針施術は受療者の許容度に合わせて行う方が、効果を発揮しやすいからです。例えば、数センチの深さにある筋肉だからと痛みを我慢させて針を数センチ刺しても、その過程で許容度を超える痛みや刺激感があった場合、苦痛に誘発される心と体の緊張が効果を打ち消してしまうことがあります。従って、たとえ対象が深部にあったとしても、受療者の許容度を超えて針を刺すことは避ける必要があります。

そこで、受療者の許容度に合わせた針施術を行う場合に要求されるのは、針を打つポイント(ツボ)の選択時における高度な正確性です。受療者の許容度に合わせて針を打つことで、たとえ針が実際の深さに達していなかったとしても、針を打つポイント(ツボ)さえ正確であれば、苦痛を少なくして、十分な効果を引き出すことができます。この点は当院が「針」初心者でも苦痛を少なく効果を挙げられる理由として特に強調しておきます。

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【最後に】
このページでは当院にて用いられている初心者に対する「針」および「針施術の概要」を紹介しました。針灸には、針灸師の流派や針灸院によって用いる針の太さ・長さ・形状・刺し方などには差異があります。他の針灸院への受療をご検討の場合、上記の点につきましては各自でご確認いただくことをおすすめします。

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◎針の安全性については次のページで解説しております。

針の安全性について

 

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