背骨疲労について

背骨疲労とは?

*背骨の疲れ・・・背骨疲労とは?
皆さんは背骨が「だるい」「重い」「疲れた」と感じたことはないでしょうか?
それは『背骨疲労』の状態かもしれません。
背骨疲労の特徴として
・姿勢が悪い、気が付くと姿勢が崩れている。
・背筋を伸ばしていられない。
・身体や首がうまくねじれない(後ろに振り向きにくい)
・呼吸が浅い(息苦しい)
・昔よりも身長が縮んだ

・寝違い・スジ違い・ぎっくり腰になりやすい。

・ふとん、ベッド、枕が合わないのではと気になる。
 などが挙げられます。
背骨疲労とは何でしょうか?そして原因は何でしょうか?

背骨疲労の原因

身体の側面から見た背骨
側面から見た背骨

背骨は人体の体幹部を支える大黒柱ですが、

椎骨というブロック状の骨が積みあがり、

横から見るとS字状の一本の柱(脊柱)となって体幹を支えています(上図)。
一個一個の椎骨の間には椎間板という軟骨があり、そして上下の椎骨は複数の靭帯でつながっています。一個一個の椎骨は完全に接着した状態ではないため、継ぎ目部分はある程度の可動性を有しています。この可動性の連続によって、背骨(脊柱)はある程度は前後左右に曲がることが可能となっています。
そして、体幹を支えるという機能において、この椎骨間の可動性には非常に重要な役割があります。それは背骨に「しなり」を生み出すことです。この可動性に加えてS字構造があることで、背骨はスプリングのようにしなり、負荷を分散・吸収させることが可能となります。

また、背骨の周囲には様々な筋肉が取り巻いて、背骨の支持性と可動性に貢献しています。
その筋肉は、深い筋肉→浅い筋肉の順で一個一個の椎骨をつなぐ細かい筋肉、複数個の椎骨をつなぐ筋肉、背骨に沿って上下に伸びる長い筋肉として存在し、それぞれ役割を有しています。

背骨に疲労感を感じる背骨疲労の状態では、この背骨取り巻く筋肉が深くかかわります。
特に、背骨一個一個や複数個の背骨をつなぐ細かい筋肉の疲労蓄積による硬直状態が、
「背骨が疲労」しているという感覚を生み出すと考えられます。

この細かい筋肉の硬直状態は背骨に生じた錆(さび)のようなものとイメージしていただければわかりやすいかもしれません。ちょうど自転車のチェーンがさび付いて固くなってこぎにくくなったような状態ですね。この「さびつき背骨」の状態が「背骨疲労」の原因になります。

*背骨疲労(さび付き背骨)を放置すると・・・
背骨を取り巻く細かい筋肉の硬直状態(さび付き背骨)は、椎骨と椎骨の間の可動性を低下させることで背骨全体が持つ弾力性(しなり)を失わせ、背骨全体が硬直したような状態を生み出してしまいます。すると本来背骨の弾力性によって行なわれていた負荷の吸収・分散がスムーズに行われなくなり、それをカバーするために周囲の筋肉(背中の筋肉)への負担が増大するので、背中の痛みや腰痛など、様々な悪影響が起こります。そして背骨に対する負担を逃がすことができないため、椎骨間のクッションである椎間板への圧力も高まり、注意しなければなりません。
また、背骨の硬直(さびつき)が部分的である場合にはその近くの筋肉にばかり負担が増大するので、スポット的な背骨の痛みや背中のスジ違い、ぎっくり腰などが起こりやすくなります。
更に身体の様々な神経が背骨のすぐ近くを起点として分布しておりますので、例えば筋肉の硬直が感覚神経に影響すれば痛み(神経痛)が引き起こされ、自律神経に影響すれば内臓の不調が長引く可能性もあります。
このように、背骨疲労・さび付き背骨を放置すると様々な痛みやトラブルを引き起こすかもしれないのです。

*なぜ背骨疲労が生まれるのか?
上にて説明しましたが、背骨の周囲は細小のものから長大なものまで複数の筋肉に取り巻かれています。そしてそれらの筋肉は背骨を支えたり、背骨を動かしたりする役割を持っています。筋肉は使い続けると疲労し、その疲労が日々の休息で十分に回復されず蓄積されてしまうと硬直した状態となってしまいます。背骨疲労は背骨周囲の特に細かい筋肉の疲労蓄積→硬直によって生み出されます。その背骨周囲の筋肉が疲労蓄積する要因といたしましては
①日常的に長時間悪い姿勢でいること
②片寄った負荷
③同じような動作(反復動作)を繰り返すこと
④内臓の疲労からの影響

が挙げられます。

 

①日常的・長時間の悪い姿勢
背骨は上半身の姿勢を支えるための支柱として働きます。同時に背骨を取り巻く筋肉は背骨を補助するために働いています。背骨にとってバランスの取れた無理のない姿勢では、背骨や背骨周囲の筋肉への負担が分散・吸収されますので、筋肉に過剰な疲労が蓄積することもなく、適度な休息での回復も可能です。しかし、例えば座っている状態で背中を丸めるなど、姿勢の悪い状態では負担の分散がうまくいかず、それをカバーするため背骨周囲の筋肉が過度に働かなければなりません。そしてそれが日常的に続くと疲労が回復されにくく、蓄積され、背骨を取り巻く筋肉の慢性的な硬直(さび付き)を招くことになります。その筋肉の硬直が広い範囲であれば背骨の広い範囲のだるさ・疲労感が生じさせ、狭い範囲であれば背骨の部分的なだるさや疼く(うずく)感じを生じさせます。

②片寄った負荷
荷物の運び方や、カバンの掛け方・持ち方などにより、背骨に片寄った負荷がかかり続けると、背骨をカバーするため周囲の筋肉にも片寄って集中した負荷がかかることになり、それが日常的になれば疲労が蓄積されて筋肉の硬直を招くため、背骨疲労を引き起こします。

③同じ動作の繰り返し(反復動作)
仕事や家事などでの作業・運動トレーニング・スポーツなどで上半身・背骨の同じ部位ばかりに負担がかかる反復的な動作を恒常的に繰り返している場合、負担のかかる背骨周囲の筋肉に疲労が蓄積し、背骨疲労を引き起こすことがあります。

④内臓疲労からの影響
例えば胃が疲れていると背骨が詰まったように感じることがあるように、内臓の疲労は神経を介して背骨周囲の筋肉を硬直状態とさせることがあり、背骨疲労を引き起こすことがあります。

 

*背骨疲労になるとなかなか回復しない理由

①背骨の支柱としての役割
上半身の大黒柱として存在する背骨は、人間が起き上がった状態では常に上半身を支え続けなければなりません。同時に背骨を取り巻く筋肉も一緒に働き続けなければなりません。したがって背骨疲労の状態でも背骨を取り巻く筋肉は起き上がっている間は働き続けなければなりませんから、疲労はなかなか抜けず慢性化しやすいのです。

②筋肉が小さい(細かい)
背骨の周りには一個一個や数個の背骨(椎骨)をつなぐ細かい筋肉があり、これらの筋肉が硬直することが背骨疲労の原因になりますが、細かく小さな筋肉は疲労の蓄積に対する受容度が低く、回復も滞りやすいため、背骨疲労が慢性化しやすい理由の一つとなります。

③血行不良を伴いやすい
筋肉の疲労回復には血液の供給、循環が必要です。しかし、背骨をとりまく細かい筋肉は大きい筋肉に覆われた深い層にあるため、特に背中の筋肉全体が硬くなってしまい血行不良になった場合などは特に影響を受けやすくなります。また、血液は筋肉の収縮によるポンプ作用で循環が補助されていますが、筋肉が硬直するとポンプ作用も働かなくなりますので、血行不良は慢性的となり、背骨疲労の回復しにくくなってしまいます。また、寒さや冷えなどを伴うと血液循環はさらに不良となります。

背骨疲労と姿勢

背骨は背骨を取り巻く筋肉たちによって支えられ、姿勢を保持しています。そして背骨の周りの筋肉たちも背骨が負担を吸収・分散させることで、適度なコンディションを保つことができます。何らかの原因で背骨の周りの筋肉たちが疲労・硬直してしまうと、背骨は支えを失ってしまいますので、本来の姿勢を保つことが難しくなります。その結果、猫背や側弯などの背骨の傾き・ゆがみが目立つようになります。

①背骨疲労と猫背
背骨疲労と猫背とは深い関係性があります。猫背には様々なタイプがありますが、基本的には背骨を取り巻く筋肉の疲労蓄積により、筋肉が背骨を支える役割を十分に発揮できなくなって、背骨が丸まってしまうものです。そうなりますと背骨はますます上半身を支える負担をうまく分散・吸収できなくなってしまいますので、背骨疲労は顕著となりやすく、猫背と共に回復が難しくなります。はり療法で背骨を取り巻く細かい筋肉の疲労を回復させつつ、背骨を支える機能が発揮できるようになってくると、姿勢が良くなり、猫背も目立ちにくくなります。

②背骨疲労と背骨のゆがみ・側弯
背骨疲労を起こしている背骨を観察すると、背骨が1個だけ凸状に出っ張っていたり、逆に凹状に陥没していたり、左右にずれていたり、さらに軽度の側弯になっているなど、背骨のゆがみを伴っている場合があります。これは崩れた姿勢やバッグの持ち方などの片寄った負荷が部分的に集中した状態が恒常的に続くためなどが考えられます。その場合、ほとんどでゆがんだ背骨を取り巻く筋肉の硬直が引き起こされています。筋肉の硬直は背骨のゆがんだ部分に特に強くみられる場合や、ゆがんだ部分を起点に上下に硬直が連なる場合などがあります。
背骨にゆがみ・側弯が起きた状態では、身体の垂直軸と背骨の軸との間にズレが発生してしまうので、背骨を支持する周囲の筋肉に余計な負担がかかることになり、疲労と筋肉の硬直を増大・固定化させてしまうことになります。また、その筋肉の硬直が背骨(椎骨)の間の可動性を低下させ、背骨のゆがみを固定化させてしまいます。
このような背骨のゆがみ状態から脱するためには、まず背骨を取り巻く筋肉の硬直をほぐし、背骨の可動性を取り戻す必要があります。背骨の可動性が確保され、周囲の筋肉の緊張バランスが均衡になれば、背骨は自然と収まるところに収まり、背骨のゆがみは目立たなくなります。
 
*背骨疲労とインナーマッスル
 インナーマッスルとは身体の内側にある筋肉で、姿勢や動作の保持・安定のために働くため、疲労や痛み・ケガ予防のために重要な役割があります。
背骨疲労の原因となる背骨周囲の細かい筋肉はこのインナーマッスルに相当します。
このインナーマッスルの疲労こそが背骨疲労の重たる原因であり、
そしてインナーマッスルの疲労により背骨の安定性が保たれなくなると姿勢や背骨のゆがみが引き起こされてしまいます。

背骨疲労と針灸療法

背骨疲労が軽度で日の浅いものであれば、日々の休息をしっかり取り、お風呂などで温めて血液の循環を促進したり、体操などで筋肉を動かしたりすることで、それなりの回復は可能だと思います。また、マッサージを受けたり、マッサージグッズを使うのも軽い場合にはいいかもしれません。しかし背骨を取り巻く細かい筋肉(インナーマッスル)は、表面の大きな筋肉のその下の、骨と骨の隙間のようなところにあり、その上細かいので、身体の表面からの力(刺激)は届きにくく、背骨疲労が固定化・慢性化した状態、つまり「背骨がサビ付いた状態」では満足な回復が難しいのは実際に経験してみればわかるはずです。

その点、鍼灸療法は骨と骨の隙間のような部分の細かい筋肉(インナーマッスル)も直接ほぐすことが可能である上、緊張(硬直)緩和と血行促進に優れておりますので、背骨疲労にふさわしい方法だと思います。サビ付いた背骨の隙間一つ一つに油をさして、サビを落すようなイメージですね。

当院においては特に針灸未経験または経験の少ない方にも安心して施術を受けていただけるよう、極細の短針を用いて施術することも可能です。美容の分野で顔面の施術に用いられている針ですので、痛みも少なく、狙った部分に細かい施術を施すことが可能です。
はり療法初心者の方や、使用する針の詳細につきましては解説のページもご覧いただければご理解いただけると思います。

 

*針灸療法による背骨疲労ケアの流れ

①背骨の周りの細かい筋肉をほぐす
特に疲労やだるさを感じる部分や、背骨並び方、凹凸等を指標にして背骨のサビをとるように背骨の周りの細かい筋肉をほぐします。背骨疲労を芯の部分からほぐしていくことで、重だるさ・疲労感を軽減させると同時に、背骨の弾力性を取り戻し、筋肉への負担を軽減させます。

②背中全体の筋肉をほぐす
背骨の周りの細かい筋肉がほぐれ、背骨のサビが取れてくると、今度は背中全体をおおう筋肉の張りやだるさなどを感じてくる場合があります。これは背骨に近い芯の部分の硬直や疲労が抜けてきたため、浅く広い範囲をカバーする筋肉の緊張(張り)や疲労感を感じるようになったためです。
針による施術もこれに応じて広い範囲をカバーするように行います。

 

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