腰痛と姿勢保持能力

当院での経験上、慢性的な腰痛の最も多い原因として挙げられるのは、身体の「姿勢保持力」の低下です。

つまり、姿勢を保持するための筋肉が、腰に負担をかけない姿勢バランスを「保持することができない」ためです。

そして「姿勢保持力が低下」するのは「筋肉」が「蓄積された疲労」によって『硬化』し、『姿勢を保持するために必要な力を発揮できない』からです。
 
では筋肉の疲労はどのようにして蓄積されていくのでしょうか?
筋肉に疲労を蓄積させる主な原因は、

「同じ姿勢を長時間続ける」
「同じ動作・作業を反復して繰り返す」
ことなどが挙げられます。


例えば、デスクワーク、立ち仕事、車の運転、電車での移動、荷物の運搬、スポーツ、家事、育児、介護・・・などが挙げられます。
同じ部分の筋肉を繰り返し使い続けることで、筋肉には徐々に疲労が蓄積されます。


筋肉に蓄積された疲労は「休息、睡眠、軽い運動、ストレッチ、お風呂など」の普段のケアである程度回復させることもできます。


しかし、十分な休息、睡眠が取れなかったり、普段の運動、ストレッチ、入浴の習慣がない場合、筋肉の疲労は日々蓄積されていくことになります。
疲労が蓄積された筋肉では徐々に『硬化』が進みます。


このような情況が長期間続いてしまうことで、筋肉は『硬化』が進み、『姿勢を保持するために必要な力を発揮できない』状況におちいってしまいます。

 

筋肉が身体を支えきれないことによって姿勢のバランスが崩れてしまい、腰に益々の負担を強いることになります。そして、「腰の重さ・痛み」を感じるようになってしまいます。
つまり、上半身全体からの負担を全て腰で受け止めてしまうことになるのです。
これが疲労から生じる腰痛の原因です。

 

では姿勢バランスが崩れると「なぜ」腰痛になりやすいのでしょうか?
まず、皆さんは、疲れている時、腰痛の時、自然に、無理なくまっすぐな姿勢を保持することができますか?


疲れていて背中が丸まっているような状態の時、背中をまっすぐに伸ばそうとすると、かえって背中に「疲労感」を感じるのではないでしょうか?

 

そして背中をまっすぐにした姿勢でいることが「苦痛」になってしまうのではないでしょうか?

 

背中をまっすぐに伸ばした姿勢の方が正しく、きれいで、腰に負担がかかりにくい・・・。
そんなことは分かっていても、背中をまっすぐに保っていられない原因は何でしょうか?
それは何よりもまず「姿勢を保持」するために働くべき筋肉が十分な力を発揮できないからです。


つまり、姿勢保持のための筋肉が「疲労」、「硬化」によって、本来持っているはずの背骨を支持するための機能を十分に発揮できない状態にあるからです。

 

姿勢バランスの崩れはそのまま腰の負担となり、腰痛の原因となります。


また、腰痛は姿勢バランスを崩してしまう原因になりますので、腰の負担を増大させ、腰痛をますます悪化させるというような悪循環が生じてしまうのです。


一度この悪循環に陥ってしまいますと、腰痛は固定化、慢性化して、何とかしようと頑張れば頑張るほどそれが裏目に出てしまうということになります。

 

いろいろな方法を試してみても腰痛が改善されない場合は上記のような悪循環に陥っているのかもしれません。

 

やや抽象的表現が続きましたので具体的な例を挙げて説明します。
《Aさんの例》
①仕事は主にデスクワーク、終日パソコンの前に座っていることが多い。


②画面とのにらめっこで、眼も疲れ、顔が段々画面に近づいていく。同時に上半身が徐々に前傾姿勢に。


③首や背中が疲れて、背中が丸まる。背筋を伸ばそうとしても背中がだるい。


④それでも頑張って仕事を続けていたら徐々に腰が重だるくなってきた。


⑤腰の重だるさを紛らせようと伸びをすると腰に痛みが・・・


⑥もはやまっすぐ座っていることもできず、背もたれ、机の端、肘掛けなどにもたれかかりながら仕事を続ける。特に意識してないが、いつも同じ側に寄りかかっている。


⑦腰全体の重だるさに加えて、腰の奥にも疼く、時に鋭い痛みを感じるようになった。もうじっと座っていることも苦痛に感じる。

 

つまり、Aさんの場合、
パソコン作業時のクセによって背中が丸まり、上半身が前傾の状態になる。

上半身が倒れ込むのを支えようとして、腰の筋肉が普段以上に働く。

これが長期化すれば腰の筋肉疲労もピークとなり、硬化が進み、腰の重だるさや腰痛が発生する。

重心を常に片側にかけた状態など、姿勢が偏った場合では腰部の同じ場所ばかりに負担がかかってしまうので、その部位が中心となった腰痛になりやすい。

 

以上のように、
どれだけ頑張っても「自分ではどうにもならない腰痛」が慢性化・固定化されてしまうのには必ず理由があります。
それはある日、突然になってしまったものであると感じる場合もありますが、
決してそうとは限りません。
普段の疲労が徐々に徐々に蓄積され、それが結果的に「腰痛」として出現したのです。

 

従いまして、当院では、腰痛に至るまでの状況を考慮し、身体のどの部分からの負担が腰痛の原因であるのかを把握しながら治療をしております。

 

まずは、腰に負担をかけすぎないような姿勢を無理なく、なるべく意識しないで自然に保持できるよう、それに関係する筋肉の疲労・硬化を改善させ、腰痛の改善につなげます。

 

自分自身で様々な方法を試してみても腰痛がなかなか良くならないような場合はぜひ当院をお試しください。


!!!注意!!!
いたずらに不安をあおるつもりはありませんが、時には内臓や骨などの病気が原因で発生する腰痛もあります。万が一、不安や心当たりのある場合は、先に医療機関への受診をおすすめ致します。

 

《目次》
①腰痛と姿勢保持能力
起床時の腰痛
腰痛と筋肉不足