痛み治療の原則

『痛み』治療の三段階

当院では、様々な原因による、様々なタイプの「痛み」に対し、その程度に応じ、以下の3段階の原則に則って治療方針を定めております。
①痛みがしつこく・激しい場合の対応。
②負担がより少なく、効果の期待できる方法を考える。
③痛みの原因を探り、痛みの根治、再発防止の策を実行する。
なぜなら、
各個人によって痛みの原因や感じ方、
痛みによって受ける仕事や日常生活などへの影響は様々であり、
治療も個々の状況を最大限に考慮して
行う必要があると考えるからです。


①痛みがしつこく・激しい場合の対応
→まず痛みを取り除くことを第一とする。
医学的な限度を超えるものでなければ、この時点では、どのような分野、方法なのかは問わず、最も苦痛を和らげることのできる手段を選択する。
痛みによる苦痛が大きい時、どれだけの人がきれい事を言っていられるのでしょうか?
例えば、薬を飲めば胃が荒れるとか、薬は一時しのぎで原因は解決しないからとか・・・
つらい痛みが長引いた場合、それに伴って体力的・精神的な消耗を引き起こし、本来身体に備わっている治癒力や、痛みの原因に立ち向かう気力を無駄に奪ってしまうことにもなりかねません。
また、痛みのイメージが固定化されてしまうと、脳内での痛みの増幅が行われ、本来の痛みは大したことがなくても、強い痛みを自覚するような状況に発展してしまう可能性もあります。
もちろん慢性的な痛みの場合にその原因に目を向けず、薬などで痛みを誤魔化してばかりいたとしたらそれは問題です。
しかし苦痛から逃れるためには、頼れるものであればワラにでもすがりたいというのが当事者のストレートな心情だと思います。
そのような時は、どうすれば痛みによる苦痛をしのぐことができるのか、それから考え、実行することが先決だと考えております。
もちろん、中には苦痛を抑えることはできても、中~長期的に用いるには好ましくない方法もあると思います。
そのため、苦痛のピークを超えることができ、一息つくことができたなら、次の段階②への移行を考えるべきだと考えます。


②負担がより少なく、効果の期待できる方法を考える。
現在の状態に対して、①の方法が最も適当であるかどうかを考察し、また副作用等、身体的な負担を考慮して痛みの緩和を継続できるような方法を選択する。
なお、①の段階であっても、なるべくこの②の原則を考慮しながら痛み緩和の手段を選択するべきでしょう。
①で選択された方法で痛みが緩和されたとしても、例えば薬が切れれば痛みがぶり返すなど、その効果に継続性が伴わない場合、
また、①の方法が何らかの副次的作用(副作用や高い依存性など)を伴う場合、

それが急場しのぎであるならばよくても、中~長期間に渡って用い続けるのは避けるべきです。
より継続的で、副次的作用の少ない方法が他にあるならば、なるべく早い段階でその方法に切り替えるべきだと考えます。
その際、状態によってですが中~長期的視点での選択が求められます。
また、同時に③の段階への移行も視野に入れなければなりません。


③痛みの原因を探り、痛みの根治、再発防止の策を実行する。
強い痛みがぶり返すことのないよう引き続き注意しつつ、痛みの原因は何であるのかを考察し、痛みの原因に対しての治療、仕事や生活などでの問題改善を行います。
③の段階では、痛みを抑えることを目的とした治療から痛みの『原因』に対する治療を行うと同時に、『再発防止』の方法を模索します。
この際、まず重要なのは痛みの回復と機能的な回復の『両方』を目指すということです。
痛みの原因の多くは機能的な問題から発しています。
同時に、多くの場合、痛みによって身体の機能は制限を受けてしまいます。
例えば肩関節の痛みならば、肩周りの筋肉が硬くなることで肩関節の動きが悪くなり、痛みが引き起こされます。
また、肩関節が痛むことによって、腕を挙げられなくなるなど、痛みによって肩関節の動きは制限されてしまいます。
従って、この場合は肩関節の機能を回復させることで痛みを治療し、痛みを取り除くことで、肩関節の機能を回復させます。
このように、③の段階では痛みの回復と機能の回復の両方を目指し、
『痛みの根治、再発予防』につなげます。
また、痛みは仕事や家事、趣味など、日常の生活スタイルが深く関わっている場合がほとんどです。
それらが「痛み」に対してどのような関わりを持つのか、「痛み」の治療と再発防止のためにはどのような改善を行えばよいのかを考えながら治療を行います。
なお、ここで忘れてはならないのは、治療はあくまでも生活を制限するためではなく、充実した生活を送る手助けとして行うということです。
例えば、痛みの原因であるからとして、好きな趣味や運動をやめなければならないなどというのは、あくまでも最終的な選択肢としなければなりません。
また、仕事や育児ならば、それが原因で痛みが起こるとしても、途中で投げ出すわけにはいきません。
痛みの原因には、仕事や家事、趣味など、時には最低限の、時には充実した生活を送る上で必要不可欠な要素が深く関わっている場合も多いため、場合によっては、それらの状況を考慮しつつ、再発予防と早期段階での痛み治療を行うことが必要と考えます。