ぎっくり腰

【目次】
 (1)ぎっくり腰とは?
(2)ギックリ腰を発症する時間帯の特徴
(3)ギックリ腰と関わりの深い動作
(4)ギックリ腰は腰のカゼ・・・?
(5)ギックリ腰になったら・・・
(6)治療の開始のタイミングは?
(7)ぎっくり腰の治療は?
(8)治療後について
(9)ぎっくり腰で来院の際のポイント


(1)ぎっくり腰とは?
ギックリ腰とは何らかのきっかけで急激に発症した腰痛のことです。
ギックリ腰は、ほとんどの場合、日常の何気ない動作で突然起こります。

朝に顔を洗おうとした時、
自動車から降りようとした時、
子供を抱っこしようとした時
等々
ギックリ腰とはどのような状態であるのかを簡単にますと、
ギックリ腰とは「腰部の捻挫もしくは肉離れの状態」です。
(捻挫は靭帯の損傷、肉離れは筋肉の損傷)
捻挫タイプの場合、骨と骨のつなぎ目である関節を固定する靭帯が損傷しています。
ブロック状に積み重なった腰椎の椎骨と椎骨の間の『椎間関節』
もしくは仙骨(骨盤後面中央の逆三角形の骨)と腸骨(いわゆる腰ぼね)のつなぎ目である『仙腸関節』
のどちらかをギックリ腰の際に痛めることが多いです。
肉離れタイプの場合は背骨を両側から保持する筋肉を損傷した際にぎっくり腰が起こります。
また、捻挫タイプと肉離れタイプが複合したぎっくり腰の場合もあります。
 
(2)ギックリ腰を発症する時間帯の特徴

ぎっくり腰は発症する時間帯により、発症に至る状況の推測ができます。

当院に来院したぎっくり腰患者さんの発症時間帯の詳細ですが、
①約6~7割は起床後から数時間以内に発症しています。
②2~3割は夕方前~夕方過ぎまでです。
①残りの1割程度はその他の時間帯です。


①朝(起床後)の時間帯
この時間に最もぎっくり腰が発生しやすいのは、人間の身体の血液循環は起床直後が最も悪く、筋肉の柔軟性が日中の活動時に比べると低下しているからではと思われます。
実際、起床直後にぎっくり腰になった人の話を聞きますと、ギックリ腰の数日前から特に起床時の腰の重さ・硬さなどを感じていたという場合が多いです。
つまり、腰部の身体を支持する筋肉には普段から疲労が蓄積気味で、特に起床時の血行が悪い時間帯に顕著となり、最終的に本来は何でもないような顔を洗うなどのちょっとした動作が腰の関節や筋肉に大きな負担になってしまったということでしょう。


②夕方の時間帯に発生するぎっくり腰
この場合も、発症のきっかけは朝の時間帯と同様に、床のものを拾おうとした時や、自動車を降りようとした時などの何気ない動作ですが、大方はその前提として数時間~半日ほど何らかの肉体作業をしていたというのがあります。
例えば、倉庫の整理とか、引越しとか、押入れの整理とか、庭の手入れとか、大掃除とか・ ・・
特に普段あまりしないような作業を一定時間してからぎっくり腰になる場合が多いようです。
これは作業動作や姿勢維持で腰の筋肉を普段以上に使い、その筋肉に普段以上の疲労が蓄積した結果、筋肉が硬くなって、血液循環が悪化したところに何気ない動作が腰に大きな負担となり、ぎっくり腰発症のきっかけとなってしまうのだと思います。
また、長時間の運転後ぎっくり腰を発症する場合がありますが、これは①の起床時同様、長時間じっとしていた為の血行不良によるものと思います。


③その他の時間帯
これはある意味、事故的な状況で発生する場合がほとんどだと思います。
例えば倒れてきた物を支えようとしたりとか、転びそうになって踏ん張ったりとか、様々な原因が挙げられますが、元々の要素として普段から腰に疲れがたまりやすい状態であったというのは、①②と同様のようです。
 
(3)ギックリ腰と関わりの深い動作
まずは約30度の前傾姿勢です。具体的には軽くお辞儀をした位の角度です。
朝顔を洗う時に洗面器に顔を近づけようとした時、歯みがきをする時に水を吐く時などの角度が最も近いと思われます。
腰を深く曲げるより、これくらいの軽く曲げたくらいの角度の方が人体(背骨)の構造上腰に最も負担がかかるそうです。
次は身体(腰)をひねる動作です。
上記②の作業後のぎっくり腰の場合にはこの動きが関わる場合が多いです。
この動きで直接ぎっくり腰を発症する場合や、荷物の運搬や移動などでこの腰をひねる動作を多くした後、ちょっとした動作でぎっくり腰を発症する場合もあります。
また、腰を後ろにそらしながら片足に重心を乗せ、片方の手を上に伸ばすような動作(例:高いところの物を取る動作)や、腰を深く屈めて片方の手を上に伸ばすような動作(例:雑巾がけや、狭いすき間の物を拾う動作)なども注意が必要です。
 
(4)ギックリ腰は腰のカゼ・・・?
ぎっくり腰を語る上で忘れてはならないのが、季節や気候、天気など外部環境の要素です。
といいますのは、当院ではぎっくり腰の患者が常に多いわけではなく、ぎっくり腰患者が来ない時期は週に1人も来ませんが、ぎっくり腰患者が1人来院されると必ず1~2週間の間に続けて数人来院されます。
特に多いのは季節や天気の変わり目などです。
夜と朝(明け方)の温度差が大きい場合ですが、例えば就寝時に比べて明け方に気温が下がってくるとそれが腰を冷やす原因となり、血液循環の低下に拍車をかけることのなります。
その結果、上記①起床時の状況でのぎっくり腰を特に引き起こしやすくなります。
動くと汗をかくけれど休むと冷えてくる場合ですが、例えば日中あたたかい時間帯に作業をして汗をかき、薄着になったり、服を湿らせたりして、夕方になると気温が下がってきますので、身体を冷やして血液循環を悪くする要因となります。その結果、上記②夕方でのぎっくり腰を特に引き起こしやすくなります。
 
(5)ギックリ腰になったら・・・
『まずは安静第一です』
横になれるようでしたらとにかく横になることを優先させます。
姿勢は側臥位(横向き)になって股関節と膝を深めに曲げ、膝の間にクッションなどをはさんだ姿勢がベストです。
そうでなければ仰向けで膝の下にたたんだ布団などを入れて
股関節と膝を曲げた状態にしておきます。
(一番楽な姿勢を優先させます。)
次に、腰は冷やした方がよいかどうかですが、これはよく質問されることです。
一般的な処置法では腰を冷やすということになっておりますが、私の経験ではギックリ腰の直後でも腰に熱感がなく、逆に冷えて冷たくなっているような場合、温めてやや発汗させることによって、痛みが大幅に改善したという例もありました。
ですので「ギックリ腰→すぐ冷やす」というのが全ての場合において適切であると言い切ることができません。
従いまして、季節や発症時の状況等にもよりますが、腰に熱感があると分かる場合は冷やしたほうがいいと思いますが、よく分からなければ軽く冷やしてみて、それが気持ちよい感じならそのまま続けてみて、逆に冷やしても楽になる感じがないなら、冷やさずにそのまま様子を見た方がよいでしょう。
但し、安静時に身体全体の保温をしっかりしておくことは、共通した注意点です。

腰痛ベルトについてですが、横になっての安静時には着用の必要はありません。トイレや食事、通院など、起き上がらなければならない場合は着用をしてください。
 
(6)治療の開始のタイミングは?
ぎっくり腰の治療ですが、安静でも痛みが治まらず、徐々に進行していくような場合、下半身に力が入らない、しびれる、ケイレンする等の場合は、第一に医療機関の受診をおすすめ致します。

強い痛みがある程度落ち着き、ご自分での移動が可能であれば、当院にご来院いただき治療することが可能です。

なお移動の際に、腰痛ベルトをお持ちであれば、着用をしてください。
歩けなければ自分で車を運転してとか、自転車で来院するとおっしゃる方もおりますが、起き上がるだけでも激痛なのにそれを押して無理矢理来院するのは
行き帰りの移動でも腰に相当の負担をかけることになります。
→例え治療で痛みを沈静化させても痛めた部分が元通りに修復されるのではないので・・・(損傷した組織の修復にはそれなりの時間がかかります・・・後述する自己修復能力の問題)
従いまして、当院ではぎっくり腰の方から予約希望のお電話があった際には
状態を伺い、基本的にご自分で歩行が可能ならば来院していただくことになりますが、状況次第では一旦時間をおいて様子を見ていただくこともあります。
ちなみにぎっくり腰の方からの電話は週末に比較的多くあります。
休日で大掃除や庭の手入れなど普段あまりしない作業をすることが多いためか、もしくは当院が土日祝も営業しているからなのか理由はよく分かりませんが・・・
 
(7)ぎっくり腰の治療は?
当院のギックリ腰治療は基本的に針灸に抵抗がなければ針灸治療を行います。
ギックリ腰の場合、ポイント的に痛い場所を探すことのできる場合が多いのですが、痛いポイントに直接治療をする前に、まずはそのポイントにかかってくる負担を取り除く目的で背部(背中)の治療をします。肩甲骨の間から、背中と腰の境目くらいです。
ギックリ腰の人の背中を観察しますと、筋肉が硬く緊張していたり、シコリ状に凝っている場合がほとんどです。
それらが柔らかくなるように治療をします。
 その後、痛むポイントを再び調べ、(痛い場所がクリアになっている場合が多い)可能であればそのポイントに針をします。(針の強さは加減します。)
 
(8)治療後について
ギックリ腰とは一言で、腰部の捻挫もしくは肉離れの状態です。
つまり、痛みを発していた部位の筋肉や靭帯などの組織は「損傷された状態」にあります。
損傷の程度には個人差がありますが、当院の治療によってその損傷がその場で修復されるわけではありません。
治療により損傷部位にかかる負担が軽減され鎮痛効果が発揮された結果、苦痛が軽減され、動作がしやすくなりますが、組織の損傷の修復という本当の意味での「治癒」にはある程度の時間が必要になります。(損傷の程度や個人の体質により異なります)例えば、切り傷が治るのにある程度の時間が必要なのと同じです。
従いまして、自己修復による本当の治癒がなされたと思われるまでは基本的に、安静やベルト等での固定など、腰に負担をかけない様にする必要があります。大体治療後1~3日位が目安です。
但し、治療によって自己修復力が旺盛に働くようになっておりますので、治療をしない場合よりも早い回復が見込めることは間違いありません。
 
(9)ぎっくり腰で来院の際のポイント
・ご予約の際には「ぎっくり腰」であることをお伝えください。
・「腰痛ベルト」等、腰を安定させるものをお持ちでしたら、
なるべくそれを着用してお越し下さい。(ベルトは簡易的なものでも結構です)

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